【校長ブログ】埼玉県経済動向調査

 埼玉県では、3か月に一度程度、埼玉県経済動向調査の結果を発表しており、県内における生産、雇用、物価、消費、企業動向など、経済の各種統計指標を時系列で見ることにより、その動向を把握・分析しております。統計の指標の収集・分析に加え、他の調査機関の経済関係報告の概要を取りまとめ、県経済の動向を総合的に把握できるようになっています。

 その結果は、埼玉県の景気は緩やかに持ち直しているそうで、埼玉県内企業を対象に四半期ごとに実施している「企業経営に関する直近7月のアンケート調査」では、自社業況のBSI(「良い」-「悪い」の企業割合)は+17と四半期連続してプラスで推移しており、「良い」とする企業が多い状態が続いているそうです。今年度は春闘においても、定期昇給を含む賃上げ率が前年比5.1%(連合の最終集計)と33年ぶりの高い水準となるなど、明るい話題も増えているとも記されております。(でも、アメリカではこの4年間で25%程度の賃上げ率になっているデータもあるようです。)
 一方で、人手不足が深刻化しており、中小企業が体力以上に無理をして賃上げを行っている可能性を示すデータが示されていて、財務省が9月2日に発表した「4~6月期を対象とした四半期別法人企業統計調査」において、人件費の前年同期比をみると、資本金10億円以上の企業の+1.1%に対し、同1千万以上1億円未満の企業が+6.7%と高く、経常利益の前年同期比は、逆に、資本金10億円以上の企業の+15.3%に対し、同1千万以上1億円未満の企業が+6.3%と低くなっており、中小企業における厳しさが増していることがうかがえる様子です。
 私などは経済学者でないので、こういったレポートを拝読しても「景気は悪いのか?それとも良くなりつつあるのか?」が正直分かりませんのです。株価が上がったり下がったりを理解するために極めて少額の株を購入してみましたが、結局、株価と実態の経済は違うということだけ体感できる程度であり、越高生の皆さんにこういう景気だから、こういった学部で学ぶと良いかもしれませんといった実学的なアドバイスは出来ません。ですから「大学入学金、授業料含めて結構な大金をつぎ込んでも後悔しない学問を選んでください。」くらいにしかアドバイスが出来なくて申し訳なさも感じております。

 例えば、財政破綻をしたギリシャなどは今年の7月から週休2日制度を廃止し、週6日の労働を許可しまして経済を立て直しつつあるようです。しかし今の日本で、GDPが落ちてきているから土曜日も働きましょう!という実業家や政治家が出てきても誰も賛同しないと感じます。(私もです。)

 我々はこういった正解のない世の中でどのように振る舞い、どう生きていって良いのか?ということを真剣に考えていかなければならないのだと思う次第です。