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授業研究について
越ヶ谷高校では、「毎日の授業と家庭での自学自習が学力をつける!」と、全教員で授業の基本方針を共有し、教務部授業研究担当を中心として、授業力向上につながるプランやアクションを発信しています。
1 全生徒による授業評価
- 本校の全講座が全生徒により一つずつ評価され、教員は個人票を受け取り授業力向上に活かします。教科は研究協議を行い、生徒へのフィードバックとして、授業評価コメントを提示します。これは、生徒と授業者(教科)が授業のねらいや目的を共有し、知識や力をつけるための学習方法などを改善することにも役立ちます。(各教科からのコメントはこちら<各教科からの2021授業評価フィードバックコメント.pdf>です。このページをスクロールダウンしてもご覧いただけます。)
2 授業研究週間と研究協議
- 教科の枠を超えて相互に授業観察と研究を行います。また、年間で数人の授業者が授業を公開し、放課後に教科の枠を越えた研究協議(任意参加)を開催し研究を深めます。
3 学校進学力パートナーシップ推進事業(平成26年度~28年度)
- 本校は、推進校10校のひとつとなり、授業力向上プログラムと思考力向上プログラムが平行して進められている。前者は授業研究委員会が、後者は、図書視聴覚部、図書館、学年が連携して推進しています。
- 授業力向上プログラムでは、授業研究委員会の中心業務である授業評価と授業研究週間をはじめ、学校間交流(越谷南高校、春日部女子高校と連携し授業見学、情報交換)、進路指導部が進める教科指導力向上研修(13名を予備校に派遣し、レポート作成し共有化)などをとおして、各教員が授業力を向上させ、生徒の学力向上に努めています。
4 次世代リーダー育成プログラム事業(平成29年度~令和3年度)
- 本校は、1年次(現在は全年次)を対象にスタディサプリを導入している。生徒が授業の復習や確認として利用できるのと同時に、教員は生徒一人ひとりの学習状況を把握している。
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本校から6名が研究推進委員となり、東京大学・大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)との連携により「協調学習」について研究しています。
① 授業力の向上 〈授業研究担当〉
・授業研究週間(年3回、5週間)
② 放課後の学習環境づくり 〈学校全体〉
・夏季・冬季休業中の自習室の提供(空調完備)
・職員室前の3つの多目的デスク(質問対応時や進路相談に活用)
各教科からの2021授業評価フィードバックコメント
国語科
2021年の授業評価Q3「この授業に満足したか」について全体平均が4.15であることから、本校の生徒が国語の授業に対して内容を理解して、授業内容についても概ね満足していることがわかりました。特にQ1「授業の中で、学習のねらいや目標が説明されていたか」Q6「生徒の質問にきちんと答えていたか」の項目について、全体平均点がそれぞれ4.37・4.10でした。これは教員と生徒でよくコミュニケーションがとれており、生徒が主体的に取り組んでいる雰囲気の中で授業が行われているということでしょう。教員と生徒の人間関係や信頼関係は何より大切です。今後もお互いに刺激しあってよりよい授業が行われることを期待しています。
一方で、Q4「この授業のために予習・復習を行ったか」という項目の全体平均点が3.27でした。この結果は今年だけではなく、毎年点数が低い質問項目です。しかし、小テストのための勉強や週末課題を行うことも予習であり、週末課題の採点も復習となります。生徒の皆さんが、きちんとこれに取り組み着実にこなしているからこそ、模試などの高偏差値につながっていると思われます。意識して「予習・復習」に取り組んでもらえれば、実力アップにつながると思っています。
生徒に対する勉強方法についてのアドバイスは以下のとおりです。
「授業だけ真面目に受ければいい」と思っていては、本当の力はつきません。現代文は、暗記科目ではありません。その準備として必要なものの一つが、読書です。読書体験を多く持っている人ほど、言葉を理解する力(語彙力)に秀でています。そして、高い語彙力を持っている人ほど、物事を理解する力が高くなるのです。ですから、ぜひ本をたくさん読んでください。古典については暗記の部分が大きいので、1年の時からコツコツと覚えていく必要があります。定期テスト前にまとめてやるのではなく、少しずつ暗記するように努めてください。前にも触れましたが、実力をアップするためには、まず、授業の予習をしてください。予習をして授業の内容をある程度理解しておけば授業時間が復習となり、授業内容の脳への定着率が一気に上昇します。また予習の時点で疑問点や分からない部分が判明します。それにより「この部分を授業で確認しよう」という目的意識が生じて集中力も上がり、効率的に勉強することができます。そして、理解しづらかった箇所は復習して確認してください。
今回の結果を受け、本校の国語科教員は、基礎力を伸ばすと同時に、興味・関心を引き出し、われわれを取りまく世界を的確に読み解き発信する能力を養っていきたいと考えます。
数学科
昨年度の課題であった①「授業の中で、学習のねらいや目標が説明されていたか」、②「教え方がわかりやすく、内容は理解しやすかったか」、③「この授業に満足したか」の3項目が4点台に上昇しました。また、④「この授業のために予習・復習を行ったか」、⑩「この授業を受け、家庭学習への意欲が増したか」、⑪「この授業を受け、以前より数学が好きになったか」の項目は昨年同様3点台前半という結果でした。
授業の目的を把握し、積極的に授業に取り組んでいる人が多数いる一方で、家庭学習の不足により、授業内容の理解が進まずに、数学に対する興味を失ってしまう、という循環が起こっている可能性が考えられます。高校の数学は、学習する内容が多い分、授業のペースが必然的に速くなります。授業の中で扱える問題数にも限りがあります。内容を理解していくためには授業で学んだことをそのつど復習し、数学的な考え方を身に付け、次の内容に結び付けていくことが大切です。
数学科では、この現状を受け、授業を改善することや課題の内容を精査し、興味・関心を引き上げることに取り組みます。一方で、みなさんは、確かな学力を構築・定着できるよう家庭学習を継続的に実践し、理解不十分な学習事項をなくすよう努力してください。また、⑥「生徒の質問にきちんと答えていたか」の項目の平均点が4.49と高い水準にあるように、今後も質問に対してはしっかりと回答していきますので、わからないことは遠慮なく質問してください。
地歴公民科
今回の授業評価は、5の授業内容への興味が同ポイントだった以外の全ての項目は昨年度より向上しました。例年懸案となっている4の予習復習の項目は3点台に乗り改善の兆しが見えてきました。副教材やスタディサプリなどの自学用教材が皆さんの手元にはありますので、これらをもっと活用してください。特に問題集は先に解いてから授業に臨みましょう。
また、8・9の「進路実現に役立っているか」「社会問題の関心は高まったか」も引き続き上昇したことは嬉しく思います。暗記科目と思われることが多いですが、基礎・基本的な知識を元に、思考をめぐらす力を養うことが地歴公民科の目指しているところです。地歴公民科の授業で得た知識を、単なる知識で終わらせるのではなく、これからの混迷する社会を読み解くカギとして使いこなしてほしいと考えています。
理科
生徒の皆さんの答えてくれたアンケート結果を理科教員全員で検討させてもらいました。
・授業を通して「学習のねらいや目標3.88(昨年3.99)」「授業の解り易さと理解しやすさ3.86(昨年3.96)」「満足度3.84(同3.98)」「生徒 の質問に答える4.23(同4.28)」などの点は昨年よりやや減少しましたが、それでも生徒の皆さんに高評価をいただけているようです。コロナによるリモート授業などの中でも、教員と生徒の間で質問できる関係や環境を整えることができたものと思います。そして、教科書の内容の理解は、概ね満足にできていることもわかりました。今後も期待に応えられるような授業の工夫を研究していきます
・また「予習や復習を行った3.15(同2.95」「科学を見る目に変化3.44(同3.34)」「科学と社会のつながりに気づいた3.55(同3.47)」などの点もやや改善されたものと思います。これからも自然科学の本質的な理解や面白さ、生活や社会とのつながりを伝えるという面で改善に授業に取り組んでいかねばならないと考えています。
最近の大学入試問題でも、自ら深く学ぼうとする主体的・探究的な学習態度を必要としてきており、教科書や授業の範囲を超えて学ぼうとする拡がりのある学習姿勢が必要であると思います。現象を見て、それを言葉で説明し、さらに数式等で理解するなど、手順を自ら組立てて学習していかねばなりません。このような学びにつながる授業づくりを推進していこうと思います。
英語科
昨今のメディアで報道されている通り、「大学入試改革」という言葉が教育界におけるバズワードになっています。その中の1つ、英語民間試験を導入した4技能を評価する入試が非常に大きな注目を浴びました。しかしながら、この改革は事実上延期の発表がなされ、今年度の大学入試も概ね従来通りとなっています。
本校英語科教員は、生徒に大学入試に対応できる力を身につけさせるとともに、進学後や社会に出た後を見据えて日々の授業にあたっています。そのため、授業では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を統合的に扱いながら、様々な言語活動の中で生徒が学んだ知識を活用する場面を設定しています。
英語科は授業評価アンケートの中に、「読む」「聞く」「話す」「書く」の各技能について、「授業を通して各技能の力が身についたか」を独自項目として設定し、生徒に自己評価してもらいました。昨年度の英語科の課題は、「読む」「聞く」「話す」「書く」に関する4項目の数値にばらつきがあったことです。今年度の結果を見ると、すべての項目において昨年を超える結果となり、4技能の数値のバランスがさらに改善されてきました。
また、設問の中に「授業の理解度」についての項目があり、多くの生徒がプラスの評価を出していました。「よくわかる授業」と聞くと、教科書の内容を隅々まで正しく理解できる授業のように思われますが、英語学習のゴールは理解することでは決してありません。理解した内容を基にそれを活用し、十分に使いこなせることが目標であり、そのためには相当な時間と労力が必要になります。授業内で学びを完結せず、教室外でどれだけ実践練習を積めるか。限られた授業数では確保できない時間を、家庭学習でどれだけ補うことができるか。授業と家庭学習の両輪が常に正しい方向に回り続けること、その相乗効果で英語力の向上が期待されます。
本校英語科教員は今回の結果を真摯に受け止め、今後の授業改善に努めると共に、皆さんが英語学習に対して我々と同じ目標を見据え日々の行動へと繋げてくれることを願っています。
芸術科
授業評価ありがとうございました。音楽、美術、書道の各担当で検証し、以下に回答を述べます。
音楽
授業評価のアンケートありがとうございました。“授業に満足したか”の項目では多くの人がそう感じてくれたことを担当者としてうれしく思います。みなさんが大変意欲的に授業に取り組んでくれたからです。とくに今年度は、1年ぶりに歌唱(合唱)の授業が復活できました。マスク越しではありましたが、みなさん楽しそうに歌っている姿を見て感慨深いものがありました。
“予習・復習”については毎年数値が低いのですが、授業で鑑賞して気になった音楽については、自分でもネットなどで探して興味を広げていってほしいと思います。1、2年生のキーボードの課題は慣れない人にとってはかなり難しいものだったと思いますが、よく努力してくれました。機会がある人は、ぜひ自分でも取り組んでみてください。とくに2年生でおこなったコードの構造の理解は、音楽の楽しみ方を拡大する上でとても重要なものです。さらに理論的な質問など教えてほしいことがあれば、遠慮なくぜひ担当者まで来てください。音楽は、その背景(歴史・文化・人物・理論)を知れば知るほど、聴き方や感動も深まります。ぜひ授業の中でそのヒントをつかんでください。
美術
アンケートを拝見し、皆さんの評価をありがたく受け止めました。全年次とも意欲的な生徒が多く、高い評価を頂けたことを嬉しく思います。特に授業の満足度や授業に喜びや達成感を感じたかという項目については評価が非常に高く、有意義な授業ができたと思っております。これからも皆さんの授業に対する関心、意欲が向上するような工夫を研究し続けたいと思います。
4の予習・復習の項目が低い数値になっていますが、美術は授業中だけが美術の力を吸収できる時間ではありません。今、制作中の課題に、一見関係ないように見えることでもどこかで皆さんが吸収した何かと深くつながっています。風景を見て美しいと感じたり、映画を見て感動したりしたときに、目から入ってきた情報を意識的に「どうして美しいと感じるのだろう」と分析することを日頃の生活の中で行ってください。立派な予習になり、美しいものを創造する糧になります。
書道
ほとんどの生徒が受講して満足していることがわかり安心しています。
特に1年生の2学期に実施した「蘭亭序」全臨は、かなり高い要求だったかと思いますが全員が腰をすえて取り組み、書写能力を高める機会になりました。
また、2年次で1学期に実施した篆刻は進度に差が出てしまうことを考慮し、手順を鳥瞰できる資料を用意しました。こちらも難しい単元であったにもかかわらず、レベルの高い作品が出来上がりました。3学期の日本書道史の取り組みでは2年間をとおして培った書道の歴史的背景を踏まえた表現を駆使出来るようになったと感じます。
評価の客観性を図るべく学期ごとのノート提出を義務付けていますが、これは立派な復習になっています。きちんと取り組んでいる生徒のノートは現在の自身が授業で吸収した内容を投影した優れたポートフォリオとなっています。予習は特に求めていませんが、復習する機会は与えられていると考えてほしいと願います。
保健体育科
体育
約87%の生徒が、授業を楽しめたと回答してくれました。授業を楽しめる背景には、得意不得意に関わらず、一人ひとりの積極的に取り組む姿勢と、他者と協働して参加する姿勢が求められます。積極的な取り組みに関する項目は約84%、他者との協働に関する項目は約85%の生徒がポジティブな回答をしてくれました。今後も、その姿勢を大切に授業に参加してほしいと思います。近年、高校生の体力の低下が言われていますが、越ヶ谷高校も例外ではありません。健康な体は生活の基礎です。運動への高い意識をもって、高校生活を送って欲しいと思います。
保健
約92%の生徒が、今後の人生に役立つ内容であったと回答してくれました。社会環境の変化や自らを取り巻く環境の変化で、健康の保持増進のための考え方や行動は変わります。約85%の生徒が新たな発見があったと回答してくれましたが、それに甘んじることなく、社会環境の変化を敏感に察知しながら、情報をアップデートし伝えていきます。自らの人生を健やかに過ごすための基礎を意欲的に学び、仲間と考えを共有しながら、多様な社会の中で健やかに過ごしてほしいと思います。
家庭科
1年次の家庭基礎では、被服実習や高齢者体験など、経験を通して学ぶ機会を確保し、生徒の関心を高める工夫を行いました。また、調べ学習やプレゼンといったアクティブラーニングを主とした活動も多く行いました。授業評価の結果からも、授業や内容理解への満足度が高いことが読み取れます。一方で、「授業のために予習・復習を行ったか」の項目では、多くの生徒が行っていないという回答をしていることから、家庭学習の充実や事前の課題提起などを行う必要があると分かりました。
3年次の選択科目である「フードデザイン」は少人数の講座で、栄養や調理に関心の高い生徒が選択しています。感染防止の観点から、調理実習を1回しか行うことが出来ませんでしたが、少ない機会からも多くを学ぶことのできる内容だったと感じています。SDGsの観点から「食」を考え、プレゼンを行うなどの活動から、「食」が影響を及ぼすのは身体だけではないこと、経済や環境など、様々な分野に繋がっていることなどを主体的に学びました。授業評価の結果からは、1年次の家庭基礎と同じく、予習・復習をしていない事が読み取れました。受講者は意欲の高い生徒が多いため、自分から「知りたい」「調べたい」「学びたい」と思えるような問いかけ、投げかけを行っていきたいと思います。
情報科
授業評価の結果から、「予習・復習」に関する点数が低かったです。「予習・復習」の低い要因は、座学が少なくPCを利用しての授業が多く、各家庭で予習・復習が出来ないことも関係していると思います。授業として最も大切なことは社会と情報の授業で身に付けたことを他教科の授業や普段の生活の中で使いこなすことであると考えます。アンケートの中で、「将来の社会で必要なスキルを学ぶ内容であったか」が95%を超えている点は授業の内容が適正な内容だと考えます。Classroomやプレゼンテーションは他教科の授業でも行っています。情報モラルが普段の役に立っている結果から、多くの生徒が情報モラルを意識しながら使いこなしていると考えます。
プログラミング教育が小学校から始まり、大学入学共通テストで「情報」が入ることになりました。授業の内容を今後、改善する必要があると考えます。コロナ感染が広がった時には、オンライン授業やテレワークなどが定着しました。プレゼンテーション能力や情報技術は社会人として必要な部分です。情報のアップデートは非常に早く、授業も時代に即した内容を今後も行っていきたいと考えております。